工学部 機械工学科

畝田道雄 研究室

UNEDA MICHIO
LABORATORY

精密加工と精密計測の先進的研究と臨場感をもった体験型ものづくり教育の統合化

“ものづくり”に必須の精密加工と精密計測がテーマ。精密加工では高性能電子デバイスを支える「超精密研磨システムとその応用」、精密計測では「音響計測」や「画像計測」を取り扱う。LEDやパワーデバイスとなる材料基板を平坦化する技術開発や、画像処理を用いた大型構造物の遠隔監視システムの研究などを産官学の共同研究で進めている。

キーワード

  • 超精密加工
  • 化学機械研磨
  • 音響・画像計測
  • 遠隔監視システム
  • 生産原論

研究紹介

RESEARCH

研磨の基礎科学とイノベーション化プロジェクト

研究内容

皆さんが日々使用されるスマートフォンやノートパソコン等々,その製造プロセスには必ず「研磨」があります.「研磨」されていない工業製品は無いと言っても過言では無いでしょう.「研磨」の歴史は非常に長く,古くは石器時代にも遡ります.しかし,いまだに未解明点が非常に多く,謎もたくさんあります.
 本研究プロジェクトでは,
(1) 研磨の基礎科学を解明することを目的に,構成要素(研磨装置,研磨パッド,スラリー,コンディショナ)の影響分析を行うとともに,これらのインターラクションを科学する手法の開発とその標準化
(2) 「温故知新」の名言に倣い,先端半導体デバイスのみを目下のターゲットとするものではなく,研磨の歴史・ノウハウ・技術伝承の在り方を探り,そこから次代に向けた課題の明確化とその解決手法の開発
(3) 上記(1)と(2)をベースとして,研磨のさらなる高能率・高品位を具現し得るイノベーション化ツールの開発
(4) 個別企業と特定委員間の共同研究を積極的に図り,企業の研究・技術開発を支援
(5) 企業の新入社員向け基礎教育に貢献
等々,様々な取り組みを行っています.

研磨パッドの「見える化」プロジェクト

研究内容

研磨プロセスにおいて使用される消耗副資材の一つに「研磨パッド」があります.研磨パッドと言ってもなかなかイメージし難いと思いますが,簡単に書けば「布」です.手触り感覚は皆さんの洋服とほぼ同じです.洋服を長く使うと表面の艶が無くなったりした経験はありますね.
 研磨パッドも同じで,研磨パッドは研磨対象物との擦り合わせ(これが研磨)に使用されますから,使用時間に応じて,その表面性状は常に変化します.しかし,その表面性状を「定量的」に評価する手法がありませんでした.
 本研究プロジェクトでは研磨パッドの表面性状を定量的に測定・評価できる装置を開発し,市販化にも繋げているとともに,「見えない」ものを「見える化」する技術として非常に注目されています.
 是非,本研究プロジェクトを通じた産学連携研究,基礎から応用(実用)に至るまでの実装化研究に挑戦してみませんか.

研磨シミュレーションに基づく最適化プロジェクト

研究内容

本プロジェクトでは,大口径シリコンウェーハをはじめとする各種工作物のラッピング・ポリシングによる精密研磨,並びにダイヤモンドペレットによる固定砥粒研磨における研磨レートや精度を予測する方法に加えて,最適研磨条件を導出することを主目的として開発した高精度研磨シミュレーション技術の開発を行っています.
 具体的に,本研究室では現在までに,工作物面内での研磨距離の分布が工作物表面形状創成に影響するとして,研磨距離シミュレーション技術の開発ならびに実験的検討を実施しています.特に,ダイヤモンドペレット(DP)による固定砥粒研磨では,研磨距離の均一化を図るDP配置最適化にも検討を進めています.
 機械工学科でありながら数値シミュレーションや最適化技術を修得したい,という学生は是非チャレンジしてください!!!.

構造物ヘルスモニタリングプロジェクト

研究内容

現在,高度成長期に建設された道路橋,河川施設,港湾岸壁などの社会資本において,建設後50年以上経過するものの割合が2030年頃には約50%にまで達し,その老朽化対応の方策検討は国家的な課題とされています.特に,海岸からの飛来塩分によるビルや橋などの鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete:以下,RC)構造物の塩害は深刻です.この塩害によって,かぶりコンクリート(鉄筋を覆うコンクリート)が剥落するとともに,鉄筋自体の断面が減少してしまいます.その結果,RC構造物の景観が悪化するばかりか,その性能も低下します.したがって,現在,RC構造物の簡便,且つ正確なヘルスモニタリングの方策が重要視されています.
 RC構造物のヘルスモニタリングを行う場合,一般的に構造物のひび割れに注目することが多くあります.すなわち,過酷環境下で使用されるRC構造物にひび割れ部位を生じると,当該部位を起点として腐食要因物質の浸透が促進され,マクロセル(局部)腐食を誘発することによって構造物の劣化が進行し,耐久性能は低下します.このことから,安全・安心・快適な社会資本の維持において,RC構造物のひずみ分布やひび割れの発生を早期に発見することを通じた,合理的な補修・補強を行うことが必須となっています.
 このような事柄を背景に,新しいヘルスモニタリング技術として非破壊・非接触計測を可能とする画像解析手法が様々な分野で検討され,構造物表面の面内ひずみを求める手法が提案されています.特に,デジタル画像相関法(DIC法)による手法は,変形前後の計測物をデジタルカメラ(以下,カメラ)で撮影した画像を用いるのみによって広範囲のひずみ分布計測が可能という特徴を有し,実構造物に対する検証も一部で進められています.
 本研究プロジェクトでは,ステレオ方式三次元形状計測法を併用したDIC法によるRC構造物のひび割れ発生の検知手法の開発を試みているとともに,大型RC梁を対象とした4点曲げ載荷試験によって,その有効性を検証しています.多様な試験を行うことによって,社会資本の維持・メンテナンスに資することを目指しています.

「匠の技」を科学するプロジェクト

研究内容

皆さんは日本刀について知っていますか.日本刀というキーワードは聞いたことあると思いますが,何故に,あのような形状をしているか,歴史の変革とともにどのように日本刀も変化したか,については,あまり多く知られていません.
 日本刀は武器としての実用性に加え日本人の美意識を反映し,刀匠は「折れず」「曲がらず」「良く切れ」「美しい」という特徴を完成させ,世界的に見ても歴史上日本刀の他に類例の無い「美」を探究してきました.日本刀は刀匠や刀剣研師らの絶え間ない探究によって深化しています.
 ここで,日本刀に関する研究動向を見るとき,金属学的研究は数多く存在し,3次元デジタルアーカイブや地鉄まで鮮明に捉え得る撮像法も開発されています.しかし,最近の国内研究は少し影を潜め,昨年に世界的デザイナーが伝統工芸とアートをコラボレーションさせた作品をデザインされたことは記憶に新しく,日本人としては誠に残念でもあります.また,2020年には東京五輪・パラリンピックが開催され,日本政府は首相直轄で「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」を立ち上げています.このことからも,日本刀の魅力解明と新しい試みは,日本刀が世界の人々に実感され我が国を代表する伝統工芸品としての位置付けを今後も継承させるためにも,喫緊の課題であると言えるでしょう.
 本研究プロジェクトでは日本刀をターゲットに,はじめに「匠の技」を科学によって解明し,それに基づいて,科学(あるいは工学)の観点から新しい日本刀を設計し,作刀(刀匠に依頼)し,審査会出品と評価を受けようとする大いなる挑戦であり,このような研究を行える大学・研究室は本研究室を除いて殆どありません.
 是非,「温故知新」の名言に倣いながら,日本刀の科学について挑戦しましょう.

自動車用タイヤの科学プロジェクト

研究内容

自動車用タイヤは知っていますね.では,トレッドパターンについては如何でしょうか.
 タイヤの接地面に刻まれた溝や切り込みによる紋様(トレッドパターン)は今から100年以上前に社名ロゴをモチーフにした形状で,広告として使用されたものが始まりとされています.今日ではパターンによって変化する接地面の摩擦挙動がタイヤの基本性能(駆動力・制動力・コーナーでの向心力等)に深く関わっていることで知られ,タイヤの基本設計で重要視されています.
 本研究プロジェクトではタイヤの紋様であるパターンによって変化する接地面のひずみと最大静摩擦力の同時計測とその評価に着目し,そこからパターンが有する(あるいは有すべき)機能の可視化を目的としています.
 具体的には,パターンの変化に伴うひずみと最大静摩擦力の直接的な影響を検証するため,デジタル画像相関法を利用したひずみ・最大静摩擦力の同時計測装置を試作し,さらに,タイヤ接地面のひずみが最大静摩擦力に与える影響を詳細に検討するため,転写法によって接地面の真実接触率を定量評価し,それとひずみの相互相関を検討しています.
 私達の身近な生活を支えるタイヤ,でも意外に知らないことがたくさんです.
 身近な興味のあることを科学することで,実は先端的・先駆的な研究成果を生み出してみませんか.

教員紹介

TEACHERS

畝田道雄  教授・博士(工学)

石川県内灘高校出身

略歴

金沢工業大学工学部機械工学科卒。同大学大学院博士課程(機械工学)修了。2000年防衛庁技術研究本部入庁、第3研究所所属、防衛庁技官。2002年本学助手就任、講師、助教授、2011年九州大学客員准教授(兼任、1年間)を経て、2013年現職。

専門分野

専門:精密工学、精密加工、精密計測、振動応用工学
論文・著書:回転薄刃による硬脆材料の振動スライシング加工に関する研究(学位論文)、ダブプリズムを用いた接触画像解析に基づくポリシングパッド表面性状の定量評価手法の開発に関する研究、他有審査論文100編以上
受賞:砥粒加工学会熊谷賞・奨励賞、精密工学会ベストプレゼンテーション賞・北陸信越支部技術賞・奨励賞、日本工学教育協会賞(論文・論説賞)、MIPE AWARD 2015(Excellent Paper)、他
その他専門情報:精密工学会「プラナリゼーションCMPとその応用技術専門委員会」幹事、砥粒加工学会「研磨の基礎科学とイノベーション化専門委員会」委員長・同学会「北陸信越地区部会」庶務幹事、シニア教育士(工学・技術)

横顔

本学出身。防衛庁技術研究本部ではレーダシステムの研究開発に従事。趣味のスキー歴は30年以上。中学・高校ではテニス部。ゴルフは最近微妙・・・。登山は毎年白山へ。最近水泳と釣りを始めたらしい。さて、その成果は如何ほどに。現在の研究テーマは超精密加工から日本刀・河川礫(石)まで・・・いろいろチャレンジ中。

趣味

スキー(毎シーズン)、ゴルフとテニス(最近微妙)、やさしい雑学本の読書(出張の電車内)、雑談、登山(毎年)、水泳と釣り(いずれも初級レベル)

近況

白山登山を毎年楽しんでいます。2009年は8月・9月・10月と3回登りました。これからも続けたいです。研究室の概要はホームページにアップされていますので、是非ご覧ください:http://www2.kanazawa-it.ac.jp/ishiune/ 産学連携でいろいろなことに挑戦しています。

オリジナルコンテンツ

ORIGINAL CONTENTS