工学部 電気電子工学科

金野武司 研究室

KONNO TAKESHI
LABORATORY

人のコミュニケーションに潜む仕組みの理解と応用

通信機能を持つ機械は我々の身近に溢れており,この流れは今後ますます加速する.この流れの中で,人と機械は単なる情報のやりとりから,心を伴う知識のやりとりへと進むことが期待される.しかし,機械は人が自然に行なうコミュニケーションが苦手である.我々の研究室では,情報伝送タイミングの切り替えや,記号の交換による意図の伝達といった,人の持つコミュニケーションの仕組みを機械が備えることの可能性を探求する.

キーワード

  • 意図的・記号的コミュニケーション
  • 文脈依存型情報伝送
  • 知識共創
  • 認知科学

ニュース&トピックス

NEWS & TOPICS

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研究紹介

RESEARCH

視線コミュニケーションにおけるターンテイクダイナミクスの研究

研究内容

近年,人工知能が身近なものになっているが,そこで行なわれるコミュニケーションにはいまだ違和感を感じることが多い.この違和感は非言語コミュニケーションにあると我々は考えた.その中でも,視線は重要な役割を果たしているため,その人どうしのインタラクションパターンに注目した.本研究では,視線を介したコミュニケーション実験を設計・実施し,視線のやりとりにおける人らしさの動作特徴(特にターンテイキング)を調査した.結果,人どうしの視線のインタラクションには高い同調傾向が現れることが確認された.しかし,アンケートにおいて報告された主従関係の入れ替わり(ターンテイキング)を,計測したインタラクションデータから定量的に取り出す指標の作成には至ることができなかった(担当:青木, 2017).

仮想オブジェクトを介したニ者間インタラクション実験による人らしさを生む動作パターンの解明

研究内容

人は他者のどのような動きから人らしさを感じているのだろうか.我々は視覚的なオブジェクトを介したインタラクション環境を用意し,人どうし,もしくは人とコンピュータのニ者間でのインタラクション実験を実施した.結果,人どうしでは同調傾向が見られ,高い相関関係が確認された.しかし,同調傾向は人らしい動作の指標として十分ではなく,ターンテイキングの特徴を指標として取り出すことの必要性が示唆された.そこで我々はこの指標の作成を試みたが,ターンテイキングを適切に捉えることはできなかった(担当:入江, 2017).

言外の意味を伝えあう計算モデルの構築とその作用の検証

研究内容

人は,記号に字義通りの意味と言外の意味を割り当て,互いにコミュニケーションをする.我々は,記号にそれらの意味を適切に割り当てることで解けるようになる協調課題を用意し,これを人と計算モデルのペアで取り組む実験を行なった.計算モデルは,ランダムモデル,連合学習モデル,意味推定モデル,失敗学習モデルの4つを用意した.先行研究において,計算モデルどうしのシミュレーションでは協調課題を解けることが確認されたが,それと同じ仕組みは人との間ではうまく機能しないことが明らかになった.この原因は,計算モデルに相手の言外の意味を推定・修正する仕組みが備わっていないことにあることが分析から示唆された(担当:河上, 2017).

電波によるエネルギーハーベスティングを利用したセンサネットワーク構築のための電源要件の調査

研究内容

センサネットワークを構成するセンサノードの駆動にエネルギーハーベスティング技術を用いることで,電源の問題を解決することが期待されている.しかし,エネルギーハーベスティングは発電量が非常に小さく,かつ環境状態により大きく変化してしまうという問題がある.これを解決する1つの方法として,我々は極小電力での駆動が可能なマイコンを用いて,太陽光と電波の併用による電源の多様化を検討し,センサノードの電源管理に必要な要件を調査した(担当:平, 2017).

拡張現実における仮想物体とのインタラクション環境の構築

研究内容

本研究では,人間と仮想物との間でターンテイキングを感じさせるような動作パターンを柔軟に実験・調査することのできるAR環境を構築することを目的とする.具体的には,没入型のヘッドマウントディスプレイと外界撮影用のステレオカメラを組み合わせ,現実の視覚に仮想的な物体を表示するシステムを用いて,単純な人工物とインタラクションすることができるAR環境を構築する(担当:早川, 2017).

教員紹介

TEACHERS

金野武司  講師・博士(知識科学)

東京都東京工業大学工学部付属工業高校出身

略歴

武蔵工業大学電気電子工学科卒。同大学大学院工学研究科修士課程(電気工学専攻)修了。住友重機械工業(株)勤務。2008年北陸先端科学技術大学院大学博士課程(知識科学)修了。同大学研究員、特任助教を経て、2016年本学講師就任。

専門分野

専門:認知科学(コミュニケーション,実験記号論,ロボティクス)、複雑系
論文・著書:言語的コミュニケーションシステムの創発に関する実験的アプローチ, 計測と制御, vol.53(9), pp.801-807, 2014、回帰的意図理解をめざす共同注意ロボット, 科学哲学, vol.44(2), pp.29-45, 2011.
受賞:第6回知識共創フォーラム優秀論文賞(2017)、HAIシンポジウムOutstanding Research Award(2014)、計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会優秀論文賞(2014)

横顔

人の人らしさとは何かを問い続けています。人が言語を使い、意図を介して他者とコミュニケーションしつつ協力によって支えられる社会を形成する生きものであることに、たまらない魅力と不思議を感じます。科学技術はその問いの中で活きるものだと考えています。

趣味

息子とレゴ、マインクラフトで遊んでいます。作る系が好きです。なかなか賢くならないロボと戯れていたりもします。体を動かすことも苦手ではなかったのですが、もう何年も全力疾走していません。

近況

ドリップしたコーヒーを飲みながら学生と議論する時間が何よりも刺激的で好きです。そんな時間が長く続くことを願っています。