工学部 機械工学科

高野則之 研究室

TAKANO Noriyuki
LABORATORY

安全・安心な社会を実現するために長期間にわたり劣化しない材料の開発を目指す

医療においてケガや病気によって機能低下した部位に対して人工部材(インプラント)を用いた外科的な治療が多く施されている。人工部材を体内に長期間留置した場合、材質が変化し、破損や細菌感染などのリスクを伴う。本研究室では、各種材料の環境による劣化のメカニズムを解明し、それを防止する材料の開発を目指した研究を行なっている。

キーワード

  • 合金設計
  • 計算材料学
  • インプラント
  • 水素脆性

研究紹介

RESEARCH

水素脆性機構の解明とその防止策の検討

研究内容

電気化学的陰極チャージ法を用いて水素チャージを行い、鉄、ニッケル、アルミニウムなどの材料について水素拡散特性、水素脆化特性を明らかにしてきた。また、鉄単結晶やニッケル単結晶を用いて、フラクトグラフィーからこれらの材料中の水素脆化き裂進展過程を明らかにした。現在、水素関連材料として多用されているオーステナイト系ステンレス鋼の水素脆性機構の解明に取り組んでいる。水素脆性機構については、従来から幾つかのモデルが提案されているが、実験的に実証する事が難しい。そこで、専用のコードを開発し、計算機シミュレーションによる解明にも取り組んでいる。さらに、元素添加や表面処理により水素脆化を抑制する方法についても検討している。

ショートステムの最適なアライメント

研究内容

人工股関節置換術において近年全長の短いショートステムが用いられるようになってきた.ショートステム は低侵襲性や再置換のしやすさ,さらに応力伝達性において従来の長いステムより有利である.応力伝達性は,力が作用しないと骨が痩せることで骨折のリスクを生じるために長期的に重要な因子である.しかし,短いために大腿骨への挿入位置や角度の自由度が大きく,適切な挿入角度(アライメント)が明確にはなっていない.本研究では,ショートステムのアライメントによって大腿骨への応力伝達性がどのように変化するかを明らかにし,症例に応じて最適なアライメントを提案することを目的としている.

生体置換用材料の劣化

研究内容

人工関節を代表とするインプラントやその緩衝材として用いられえる骨セメントなどは、長期間の体内留置において、劣化して再置換が必要になるケースが度々生じている。劣化の要因を明確にし、半永久的に使用できるインプラント材を開発している。また、逆に骨の再生にあわせてインプラント自体が分解し、やがてすべてが生体骨に置き換わるようなインプラント材の開発を行っている。

医療機器の開発

研究内容

医療や看護分野でのニーズに対応した機器の開発を行っている。左の写真は、術後腹腔内から排出される体液や血液などを回収するドレーナージにおいて、排液中の血液成分であるヘモグロビン濃度を判別し、患部からの出血を早期発見するための装置である。右の写真は、血糖値検査のための採血の際に誤って指に穿刺しないために開発した穿刺補助具である。

合金設計のための仮想現実技術の開発

研究内容

不規則合金の電子状態を実験的なパラメータを用いずに非経験的に求める第一原理計算コードを開発してきた。本コードでは完全な不規則合金の電子状態はもとより、結晶構造に関するパラメータや磁気モーメントなどの物性を予測することができる。さらに、短距離秩序を含む合金の物性予測も可能である。現在、侵入型不純物の導入と精度と信頼性を向上させる研究を行っている。また、古典的な分子動力学法を用いて引張挙動など動的な物性を予測する研究も行っている。この場合、原子間ポテンシャルの選択が重要であるが、合金の原子間ポテンシャルついて汎用性がありなおかつ信頼性の高いものがないため、簡便で利用性の高い原子間ポテンシャルの計算法についても研究を行っている。

教員紹介

TEACHERS

高野則之  教授・博士(工学)

略歴

1980年
3月
東京都立上野高等学校 卒業

1984年
3月
慶應義塾大学 工学部 計測工学科 卒業

1986年
3月
慶應義塾大学大学院 工学研究科 計測工学専攻 修士課程 修了

1987年
4月
新日本製鉄株式会社 中央研究本部第二技術研究所 

1991年
3月
慶應義塾大学大学院 理工学研究科 計測工学専攻 博士課程 満期退学

1991年
4月
金沢工業大学 助手 

1994年
4月
金沢工業大学 講師 

1997年
4月
金沢工業大学 助教授 

2004年
4月
金沢工業大学 工学部 機械系 機械工学科 教授 

専門分野

専門:骨セメント、金属中の水素、固体電子論

学生へのメッセージ

大学では物性理論の研究、大学院ではそれを基礎に計算材料学の研究をしていました。本学に着任してからは水素脆性破壊、近年は医療用材料や医療技術そのものの研究もしています。私が理系に興味を持ったのは小学生の頃からですが、特に中学では夏休みの自由研究をするにあたって先生にお願いして中学校の理科室を自由に使わせてもらうことができました。夏休み以降もそのまま使わせてもらえました。高校時代は生物部に所属しており、そこでの経験が現在の医工系の研究に繋がっていると思います。また、高校時代には大型計算機(当時はパソコンはまだなかったです)のプログラミングも勉強しました。これが大学院での計算材料学の研究に繋がっています。振り返ると中学、高校時代に熱心に取り組んだことがその後の生き方に大きな影響を与えてきたとつくづく感じています。皆さんも若いうちに何かに情熱を傾けてください。将来きっと役に立つことでしょう。

担当科目

電気基礎  機械力学Ⅰ  医用生体工学  プロジェクトデザインⅢ(高野則之研究室)  機械応用プログラミングⅡ  計測工学  ものづくり工学研究(高野則之)  先端材料工学特論  コーオププログラム(機械工学専攻)  コーオププロジェクト(機械工学専攻)  

オリジナルコンテンツ

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