工学部 機械工学科

諏訪部仁 研究室

SUWABE Hitoshi
LABORATORY

人体に安心安全な歯骨加工用工具の開発

研究室では精密加工用の工具の開発や加工システムの開発を行っています.この精密加工の技術を応用して,人体に悪影響を与えない安心安全な加工用工具の開発を行っています.現在は画像に示す様に人体に安全な金属にレーザを照射して,その溶融部にダイヤモンド砥粒を直接固着する方法を行っています.ダイヤモンド砥粒は高熱を加えると炭化してしまいますが,研究室では炭化を防ぎ,ダイヤモンド砥粒を固着することができます.

キーワード

  • レーザ加工
  • 医工連携
  • 超精密加工
  • 切断・研磨
  • 研削加工

研究紹介

RESEARCH

半導体デバイスの基板用シリコンのスライシング加工で用いるマルチワイヤソーの加工メカニズムの解明

研究内容

電子機器で用いられているICやLSIの基板にはSi(シリコン)を薄い円盤状に加工したもの(シリコンウェハ)が用いられています.このウェハーは砥粒と呼ばれる10μm程度の研磨剤と特殊な油を混ぜ合わせた加工液を工作物にかけながら髪の毛2本分ぐらいの太さのピアノ線を高速走行させることによって加工されています.(この加工法をマルチワイヤソーと言います)
 研究室ではこの加工法の更なる高能率,高精度化を実現するために,加工部に進入した研磨剤の転がる様子を高速度カメラで観察し,加工メカニズムの解明を行っています.この観察によって加工中の研磨剤の転がり方や破壊される様子が明らかとなりました.写真は加工中の研磨剤の様子を観察した写真の一例です.(静止画なので砥粒の動きは見えませんが,写真の下方向に砥粒が動きます)
 現在では,加工中に転がる研磨剤の動きをどのように制御するか実験的に検討しています.

結晶型太陽電池で用いるシリコン基板の高精度加工に関する研究

研究内容

工場や家庭の屋根の上に設置されている太陽電池は結晶型太陽電池と呼ばれています.この太陽電池にはSiと呼ばれる単結晶材料や多結晶材料が用いられています.現在研究室では,この結晶型太陽電池の発電効率や生産性を向上させることを目的として,加工面で発生する加工ダメージを減らす加工法の研究をしています.研究室では数μm程度のダイヤモンド砥粒を加工液に混合させて,切断加工することによって,加工表面のダメージは従来方法の1/5程度まで減少させることができ,その結果として上記の写真の様に加工面は文字が写せるまで鏡面を作ることができました.

パワーデバイス用基板材料の延性モードスライシング加工に関する研究

研究内容

電気自動車や電車で用いられるパワーデバイスに用いられるSiC材料の加工の研究をしています.この材料は硬脆材料と呼ばれる硬くて脆い材料です.このような材料は加工中に脆性破壊を生じることによって加工されるため,加工時に発生する切りくずは小さい粒となります.
 本研究では加工部に進入した研磨剤の運動を制限することによって,写真に示すような糸くずのような切りくずを発生させることができる加工法を発見しました.この研究成果の結果,加工表面で発生する加工ダメージを従来加工の1/500程度(20nm)まで減少できるようになりました.
 パワー半導体の高性能化と生産性向上に寄与する加工法として期待されています。

電子部品材料のラッピング・研磨加工に関する研究

研究内容

ICやLSIの基板やLEDの基板はワイヤソーによって薄い板状(ウェハーと呼ぶ)に加工されます.その後,ウェハーの加工表面の平行度を向上させるために研磨加工が行われる.研磨加工とは2枚の大きな円板の間にウェハーを挟んで,それぞれを動かすことによって加工する方法です.
 研究室では,この加工法の高能率・高精度化を可能にするために,加工部に供給する加工液の性質が加工特性に与える影響や加工部に供給される加工液挙動を可視化しています.

教員紹介

TEACHERS

諏訪部仁  教授・工学博士

略歴

1980年
3月
静岡県立沼津工業高等学校 卒業

1984年
3月
金沢工業大学 工学部 機械工学科 卒業

1986年
3月
金沢工業大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 修士課程 修了

1988年
4月
日本学術振興会  特別研究員 

1989年
3月
金沢工業大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士課程 修了

1990年
4月
金沢工業大学 助手 

1992年
4月
金沢工業大学 講師 

1996年
4月
金沢工業大学 助教授 

2006年
4月
金沢工業大学 教授 

2018年
4月
金沢工業大学 工学部 機械工学科 教授 

専門分野

専門:レーザ加工、切断、ラッピング、研削

学生へのメッセージ

現在、私は電子素子材料(シリコン、サファイヤ、セラミクス等)の精密加工技術の開発を行っています。この技術は半導体チップ、LEDを始めカーボンニュートラルで注目されているパワー半導体の製造に関係します。研究室で開発してきた精密加工の技術を応用して、医療用のアレルギー成分を含まない新しい工具の開発も行っています。
また、金沢工業大学柔道部の顧問もしています。ちなみに、私は柔道の経験はありません。柔道部は大学入学後に始める学生や先刻大会目指して頑張っている学生が一緒に文武両道を目指して活動をしています。
私は40年程前に大学に入学してから金沢に住み、風光明媚な金沢で学生に皆さんと一緒に研鑽しています。一緒に頑張りましょう!

担当科目

機械系製図Ⅰ  プロジェクトデザイン入門(実験)(機械工学科)  機械力学Ⅰ  機械工学専門実験・演習A  プロジェクトデザインⅢ(諏訪部仁研究室)  工業力学Ⅱ  生産システム工学研究(諏訪部 仁)  振動応用工学特論  統合システムデザイン特論  

オリジナルコンテンツ

ORIGINAL CONTENTS