工学部 電子情報システム工学科
三上明義 研究室
薄型・軽量、低消費電力、曲げられる─次世代ディスプレイ「有機EL」の開発に取り組む
次世代ディスプレイ素材「有機エレクトロルミネセンス(EL)」の研究と、これを発展させた情報表示システムの開発に取り組む。発光型ディスプレイは、薄型・軽量、低消費電力、曲げられるなどの特長を持ち、さらに電圧をかけると画像がきらめき、スイッチを切ると透明になる。この新ディスプレイのさまざまな分野での応用を研究している。
キーワード
- 有機EL
- フレキシブルディスプレイ
研究紹介
高効率有機EL照明に向けた光取り出し向上化技術
研究内容
有機EL の発光特性とその光学的効果をマルチスケールモデリングに基づく光学計算により考察した。光取出し効率の限界特性は素子構造や積層設計に依存して最大35%程度と推定され、薄膜の積層化、マイクロキャビティ構造、トップエミッション構造などが光利用効率を高めることが分かった。また、高屈折率基板とマイクロレンズ構造を利用した緑色燐光有機ELにおいて、200-lm/W を超えるパワー効率が得られており、白色発光への応用も検討中である。現在、光取り出し技術として、マイクロレンズ、フォトニクス周期構造、光散乱層などが検討されている。本研究で得られる広範囲でシームレスな光学設計手法は今後、有機ELディスプレイの低消費電力化、有機EL照明の実現において重要な役割を果たすものと考えられる。
薄膜エレクトロルミネッセンス素子に関する研究
教員紹介
三上明義 教授・工学博士
略歴
専門分野
専門:ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス
学生へのメッセージ
学生時代はサッカーと登山で体力と精神力を鍛練。企業に勤務中はサイエンスとエンジニアの両分野に精通した研究者(自称:サイエンジニア)を目指す。大学では学問を芸術の域に高めるため、学生の皆さんの感性を尊重し、世代と分野を超えた“協創”を大切にしたい。座右の銘は「人学ばざれば道を知らず」。企業の研究所で薄型ディスプレイの基礎から応用までを担当し、現在は有機EL素子の光学解析に従事。学生の頃、夢に描いた壁掛けTVが実現し、諦めなければ夢が適うことを実感。光が織りなす魅力的な世界をとおして超高速・超薄膜・超分解能・超大容量など「超」と名の付く光技術に次世代ディスプレイの解を見つけたい。
担当科目
電子回路Ⅰ 半導体工学 プロジェクトデザインⅢ(三上明義研究室) 電気磁気学Ⅲ 光情報工学 電気電子工学専門実験A 専門ゼミ(電気電子工学科) 音響・映像工学研究(三上明義) 電気応用数学特論
研究業績
論文
- Highly efficient and wide color gamut organic light emitting devices using external microcavity
- Effect of External Micro-cavitycoupled with Surface Plasmon on the Performance of Organic LightEmitting Devices
- 電気磁気学学習に向けた新科目「電気数学」導入の効果
- Reduction of the Optical Loss in the Multi-cathode Structure Organic Light Emitting Device Using a Long Range Surface Plasmon
- 「基礎電気磁気学」教育における独自教科書活用の効果
- The Control of Optical Properties by Back Cavity Effect in OLEDs with Multi-cathode Structure
- High-efficiency green phosphorescent organic light-emitting diodes with double-emission layer and thick N-doped electron transport layer
- 有機E L ディスプレイの基礎
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