メディア情報学部 心理情報デザイン学科
伊丸岡俊秀 研究室
「見て」、「感じて」、「動く」ときあなたの心の中では何が起きている?視覚認知と身体運動の心理学
何かを見て、そこから何かを感じて、さらに何らかの行動を起こそうとするとき、われわれの「心」が働いている。そして心が働いているとき、われわれの「脳」がそれを支えている。この研究室では視覚的情報処理や身体運動と人間の心の働き(認知の仕組み、と呼んだりします)の関係を調べている。研究方法はさまざまで、コンピュータを使った心理実験や視線の計測、必要に応じて脳の計測をすることもある。
キーワード
- 心理学実験
- 身体の動きと心の関係
- 視線計測
- 情報技術を活用した心理学
- 脳と生理機能の計測
ニュース&トピックス
- 2024.01.25「物語の始まりへ」に山下真愛さんが紹介されました
- 2022.05.24「物語の始まりへ」に平澤直哉さんが紹介されました
- 2021.08.18「物語の始まりへ」に長尾光喜さんが紹介されました
- 2021.07.24「物語の始まりへ」に林田脩平さんが紹介されました
- 2021.04.16『文藝春秋』2021年5月号の「KITキャンパスレポート」に田中祐貴さんが紹介されました
研究紹介
プロ目線の評価はどこから生まれるのか?
研究内容
熟達によって、その領域特有の能力や知識を獲得することは様々な分野で研究が進められており、技術の熟達が他者評価にも影響を及ぼすことが報告されています。芸術に属する舞踊においても、演技技能の熟達化が他者評価に影響を及ぼしていると考えられ、技術的な指導を行っている指導者や技能の訓練を受けている演技経験者は、熟達の過程で何かしらの評価の基準を獲得している可能性があると考えられます。本研究では、日本舞踊の扇流を対象に専門家の評価構造を明らかにすることを目的とし、専門家の有する評価構造特徴を把握することと、専門家のような評価の質を得るために必要な要素を明らかにすることについて検討しました。
実験1では、専門家の評価軸は日本舞踊の演技技術や演目知識から構成されており、評価者自身の演技経験によって評価の質に影響を与えることが分かりました。続いて行った実験2では、未経験者に対し、演目の周辺知識や専門家の評価モデルの情報を与えて感性評価実験を行いましたが、評価の質には影響を与えませんでした。しかし、未経験者内では共通の因子が抽出されたため、未経験者は必ずしも適当な評価を行っているわけではなく、何かしらの評価軸に基づいて評価している可能性が高いと考えられます。また実験1では、演技経験が1年未満の実験参加者においても、4つの中3つの適合度指標で適合が見られたことから、演技未経験者に対し専門家の評価モデルの情報を言語的に伝えることは困難だが、短期間であっても演技に関する指導を受け、日本舞踊特有の身体動作に関する技能を獲得することが、専門家に近い評価を行うことに重要である言えそうです。
視線計測を用いた視覚的デザインの評価
研究内容
視線計測技術を用いて商品パッケージやWebページ、動画などさまざまな対象のどこがよく見られて、どこが見られにくいかを明らかにすることができます。その結果からデザインの評価や改善点の提案などを行います。
一般に、視線は意識的に制御可能なのでどこを見ているかはわざわざ装置を使わなくても分かります。しかし、実は細かな視線の動きや、動きの速度の違いを調べることで、意識には上らない心の動きを調べることができます。日常的にも経験する、「つい、こっちを見ちゃった」とか「一生懸命探したけど見つからなかった」とか「見たくないのに目に入ってしまう」といったことはその一例かもしれません。
デザインの評価において「見やすい」や「明るい」といった言語的な方法だけでなく、ある画像を何ミリ秒間(1000分の数秒)見ているか、ある画像に視線を向けるときの速度がどのくらいだったかというデータを併用することで、より深い心の動きを明らかにできると考えています。
飛び出せば盛り上がるのか?3D映画から感じる臨場感を探る
研究内容
現在、多くの3D映画が公開されていますが、あれは本当に映画のおもしろさに寄与しているのでしょうか。この研究では映像から感じる臨場感をリアルタイムに計測することによって、どのような場面で3D映像の効果が大きくなるのかを明らかにしようとしています。現在出ている結果によると、画角(カメラに写っている範囲)が小さく、その上で映像に動きが多く含まれるときに3D映像の効果が高まるようです。
階段を登ると幸せになる?身体運動と感情の関係
研究内容
ものを持ち上げたり視線を上に向けるといった、上方向への動作がポジティブな記憶を呼び起こすことを促進することが知られています。この研究ではさらにそれを拡張し、身体そのものを上や下に動かすことが感情にどのような影響を与えるかを調べています。実験結果は階段を上ったり、エスカレータで上の階に行ったりすることでもポジティブな記憶が促進されることが示されました。前向きになりたかったら上に行け!?
教員紹介
伊丸岡俊秀 教授・博士(医学)
略歴
専門分野
専門:視線計測、認知心理学、脳機能イメージング
担当科目
心理学統計法 心理学のためのプログラミングⅡ 専門教養特別科目(心理学入門) 人体の構造と機能及び疾病 心理科学専門実験・演習B プロジェクトデザインⅢ(伊丸岡俊秀研究室) 心理学のためのプログラミングⅠ 知覚・認知心理学A 実践ウェルビーイング 心理学基礎実験実習Ⅱ 専門ゼミ(心理科学科) 情報デザイン研究(伊丸岡俊秀) 心理実験・測定法 認知心理学特論 コーオププログラム コーオププロジェクト
研究業績
論文
- 実験レポートの学生による相互添削の特徴
- 意図的ではない構えも視覚探索を促進する
- 過去のいじめに関する経験が大学生に与える影響
- 過去のネガティブ・ポジティブなライフイベントが大学生の現在の精神健康に及ぼす影響
- 情動刺激に向けられる空間的注意の時間経過に社交不安が与える影響
- 注意を用いた探索過程に対する情動刺激呈示の影響(日本基礎心理学会第24回大会,大会発表要旨)
- Temporal characteristics of neural activity related to target detection during visual search.
- Effects of objects occlusion on brain activity for representation of a dynamic scene
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