建築学部 建築学科

土田義郎 研究室

TSUCHIDA Yoshio
LABORATORY

未来に残すべき建築・都市環境を考える 音環境と心理の分析に関する研究

「その場にいる人間がどのような意識で建築・都市空間をとらえているか」をメインテーマとして研究します。目には見えない“こころ”が何を快適と判断するかを明らかにすることにより、快適な空間の実現をめざします。また、良好な音の環境を保全したり、新たに構築するため、サウンドスケープ(音風景)の研究にも取り組んでいます。

キーワード

  • 建築音響・騒音制御
  • 環境心理・サウンドスケープ
  • サイン音
  • 認知構造
  • 設計支援ツール

研究紹介

RESEARCH

庭園のサウンドスケープに関する研究

研究内容

庭園はその時代の世界観を凝縮したものです。どのような風景を美しいと感じていたのかを、現代に伝えてくれます。庭園には音の仕掛けが多くあります。それらの作庭意図は「暗黙知」とされていますが、徐々に失われている恐れがあります。どのような風景を音として表現したかったのかを、現代の視点から「形式知」に変換して、その文化的伝統を保全することに寄与したいと思います。

防災放送と避難行動 よりよい防災放送の実現のために

研究内容

巨大災害時には、避難行動がとられるか否かが命の分かれ目となることがあります。防災放送は避難のための最後の砦といえます。防災放送によって適切な避難行動がとられるためには、きちんと聞こえていることが前提ですが、さらに、避難を呼びかける声が危機感を持って伝わることも大事なポイントです。
防災放送のアナウンスの練習システムやどのように発声すれば逃げる気になるのかを解明するための研究を行っています。

環境バリアフリーを目指して 音のサインに関する研究

研究内容

サイン音は視覚障害者にとって有用なものです。しかし、これらが多くなりすぎるとうるさくなってしまうため、環境全体の音をうまくコントロールする必要があります。また、環境になじんで健常者にとってはうるさくなりにくく、障害者にとっては情報源となるような「環境調和型サイン音」の開発を行っています。誰もが便利に暮らしやすいユニバーサル社会の実現のための研究です。

個人の認知構造(パーソナル・コンストラクト)の分析

研究内容

人の認知はある要因とある評価が1 対1 に対応するような物ではありません。多くの要因が多くの心理的印象に結びついた上で評価へと判断が行われています。このような認知構造(パーソナル・コンストラクト)を明らかにするための手法には評価グリッド法やPAC分析のような質的評価の手法があります。これらの手法を用いることで、環境の定性的な心理評価構造が明らかにできます。教育学、看護学、マーケティングや商品開発の分野などで用いられるようになってきています。

環境認知構造の同定手法に関する研究

研究内容

PAC分析や評価グリッド法といった認知構造を定性的に明らかにする手法は、環境を質的に分析して行く上で有用なツールです。これらの手法について、より妥当性の高い方法を検討し、分析支援ツール「PAC-assist2」を作成しています。
参照→http://wwwr.kanazawa-it.ac.jp/~tsuchida/lecture/pac-assist.htm

教員紹介

TEACHERS

土田義郎  教授・博士(工学)

略歴

1980年
3月
神奈川県立光陵高等学校 卒業

1985年
3月
早稲田大学 理工学部 建築学科 卒業

1987年
3月
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 修士課程 修了

1990年
6月
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 博士課程 満期退学

1990年
7月
東京大学  工学部 助手 

1992年
4月
金沢工業大学 講師 

1997年
4月
金沢工業大学 助教授 

2004年
4月
金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 建築都市デザイン学科 教授 

2012年
4月
金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 建築学科 教授 

2018年
4月
金沢工業大学 建築学部 建築学科 教授 

専門分野

専門:環境心理、サウンドスケープ、音環境評価

学生へのメッセージ

サウンドスケープという言葉を知っていますか?音の風景、すなわち聴覚でとらえた心象というものを示しています。我々は物事を視覚でとらえがちです。しかし、空間の印象は五感でとらえる総合的なものです。建築を深く学ぶと様々なことが見えてきます。物理的な現象と、心理的な効果を適切に評価できることが建築の専門家としての能力となります。
金沢には工芸の文化に育まれた伝統的なまちなみもあれば、近代的な技術と感覚によって想像された新しい建築も重層的に存在します。まちの風景を漫然と見るのではなく、感性を磨きつつ、ぜひ幅広く空間をとらえることにチャレンジしてください。環境建築学は総合的な学問ですので、様々な領域を、好奇心をもって学んでほしいと思います。

担当科目

建築環境学Ⅱ  建築環境学Ⅲ  建築エンジニアリング総合演習A  進路セミナーⅠ  プロジェクトデザインⅢ(土田義郎研究室)  専門教養特別科目(建築入門)  建築エンジニアリング総合演習B  進路セミナーⅡ  建築環境・設備研究(土田義郎)  環境心理特論  建築環境設計演習Ⅱ  

オリジナルコンテンツ

ORIGINAL CONTENTS