バイオ・化学部 応用化学科

大澤敏 研究室

OSAWA Satoshi
LABORATORY

生分解性高分子を中心にした環境・医療・健康分野の新素材を開発

使用後に分解して自然に帰る「生分解性プラスチック」を合成し、ナノファイバー化するなどして、環境・健康・医療・医薬分野への応用に取り組んでいる。たとえば、廃棄後に自然に分解する食品トレーや、有害物質を吸着し分解する物質、砂漠の緑化剤、再生医療材料、プラスチックの化学構造が人の感覚・感性に与える影響を考慮した新感覚の化粧品の開発などの研究を行っている。

キーワード

  • 生分解性プラスチック
  • 食品化学
  • 化粧品
  • 医用材料
  • 健康素材

研究紹介

RESEARCH

有害物質の吸着と分解を同時に行う有機・無機ハイブリッド環境浄化材料の開発

研究内容

飲料水へのトリハロメタンやホルムアルデヒドの混入、あるいは加熱飲料に微量のアクリルアミドが含まれていることが問題となっている。これらを浄化するためには安全な有機・無機化合物だけを用いて有害物質を選択的に付着分解する必要がある。そこで、本研究では、環境や生体に対する安全性の高い素材のみを複合化した材料の開発を行う。

安全性の高い医用材料の開発 薬を徐放する創傷治療材と再生医療材料

研究内容

キトサンは組織再生材料として注目されてきたが、有機溶媒に溶解させたのちに成形する手法が主流であり、有機溶媒中への細胞増殖因子、治療薬の添加は不可能であった。本研究はキトサンを水のみでナノファイバー化した懸濁液を作製し、これに治療薬等を添加・付着させてからフィルム化、あるいは多孔質化することを可能にした。

油脂およびコレステロール類に対して高い吸着能を有する食品用高分子多糖の開発

研究内容

メタボリックシンドロームや成人病予防のために、機能食品として油脂やコレステロール等を吸着する安全な食用素材が求められている。我々はチキン・キトサンをマイクロあるいはナノファイバー化してペースト状あるいは固体状にする技術を有している。これに、安全な食品成分を化学修飾して健康のための食用素材を開発する。

天然系添加剤の化学装飾による高機能化

研究内容

プラスチック製品には、その性能を維持するために多くの添加剤が含まれているが、その中に内分泌かく乱物質や発癌性が疑われている添加剤も使用されている。環境調和材料、生体適合性材料への使用を考えた場合、添加剤の安全性や生分解性も不可欠である。本研究では天然系添加剤をベースとした安全で環境調和型の高機能添加剤の開発を行う。

生活圏の有害物質の除去を目的とした、安全性の高い生分解性高分子と微生物との複合材料の開発

研究内容

バイオレメディエーションには、使用する微生物の安全性を確認することが不可欠とされている。本研究では、安全性の高い麹菌(Aspergillus oryzae)を生分解性高分子多孔質体に付着させた基板を作製することで有害物質を効率よく分解できる、微生物/多孔質複合体の開発を行う。

教員紹介

TEACHERS

大澤敏  教授・理学博士

略歴

1980年
3月
愛知県名古屋市立桜台高等学校 卒業

1986年
3月
東京理科大学 理学部 化学科 卒業

1988年
3月
東京理科大学大学院 理学研究科 化学専攻 修士課程 修了

1991年
3月
東京理科大学大学院 理学研究科 化学専攻 博士課程 修了

1991年
4月
マサチューセッツ大学  高分子化学科 博士研究員 

1993年
4月
東京理科大学山口短期大学 材料工学科 助手 

1995年
4月
山口東京理科大学 基礎工学部 助手 

1996年
4月
金沢工業大学 講師 

1998年
4月
金沢工業大学 助教授 

2004年
4月
金沢工業大学 教授 

2015年
11月
金沢工業大学 副学長 

2016年
4月
金沢工業大学 バイオ・化学部 バイオ・化学系 応用化学科 教授 

2016年
4月
金沢工業大学 学長 

2018年
4月
金沢工業大学 バイオ・化学部 応用化学科 教授 

専門分野

専門:環境調和材料、生体材料、生分解性高分子

学生へのメッセージ

生分解性プラスチックを中心に化学を環境・医療・健康・生活に応用する研究を進めています。すべてのテーマが”自然から学び自然に返す”研究に繋がることを基本にして学生と新しい研究領域にチャレンジしていきます。例えば、生物が合成した物質をナノファイバー化して、それを有害物質分解材料、再生医療材料、肌を活性化させる化粧品などに応用します。この他にもハスの葉の超撥水機能、昆虫の水捕集機能、植物から抽出した香料のリラックス機能などを化学だけでなくデータサイエンスや感性工学の手法を用いて明らかにして、その応用を考えます。研究室では、大学院生、研究生、教員が協力して、”誰かのためになる”を見つけながら研究に励んでいます。

担当科目

有機合成化学  プロジェクトデザインⅢ(大澤敏研究室)  実践ウェルビーイング  有機・高分子機能化学研究(大澤 敏)  応用化学統合特論  

オリジナルコンテンツ

ORIGINAL CONTENTS