工学部 航空システム工学科

吉田啓史郎 研究室

YOSHIDA Keishiro
LABORATORY

構造材の内部を見える化して革新的軽量構造を開発する

吉田研究室では炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いた航空宇宙分野の新たな軽量構造部材の開発を目指して研究を実施しています。構造材内部の微細な状態の違いが航空機主翼などの構造物の挙動にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするため、マルチスケールシミュレーションを活用した研究を実施しています。CFRPの弱点を克服して、軽くて強い性質を最大限に活用できるよう研究に取り組んでいます。

キーワード

  • 航空宇宙構造力学
  • 数値シミュレーション
  • 炭素繊維強化プラスチック
  • 展開宇宙構造

研究紹介

RESEARCH

層内不均質性に着目した織物複合材料の力学的特性に関する研究

研究内容

CFRPは一般に、炭素繊維を一方向に引き揃えた一方向材や炭素繊維の繊維束を縦横に織り込んだ織物材の薄いシートを積層した積層板として使用されます。織物材では繊維束が織り込まれているため、一方向材に比べて一つの層内で構成材料の材料特性が不均質な状態となっています。織物複合材料の層内不均質性が積層板、ひいてはそれを用いた構造物の力学的挙動に及ぼす影響を明らかにする研究に取り組んでいます。

宇宙用展開構造部材の数値シミュレーション技術の開発

研究内容

国内企業と協力してCFRPの柔軟性を活用した人工衛星搭載用の展開ブームの開発に取り組んでいます。ブームの構成材料の諸特性から、ブームの引張、曲げ、ねじりなどの基本的な力学的特性に加えて、展開挙動や温度変化による熱変形特性を予測できる数値シミュレーション技術の確立を目指して研究を実施しています。

サンドイッチパネルの理論解析法の研究

研究内容

CFRPの2枚の面板で発泡プラスチックなどのコア材をはさんだサンドイッチパネルを航空機の主要な構造部材に適用する研究が国内外で進められています.サンドイッチパネルの代表的な破損形態として面板/コア間の「はがれ」が挙げられ,その耐はがれ強さ(破壊じん性)を実験的に評価する必要があります。吉田研究室では,サンドイッチ面板/コア間破壊じん性評価試験を対象に,試験片に生じる現象を高い精度で模擬できる理論解析法を新たに考案し,それに基づく新たな実験データ整理法の確立を目指して研究を実施しています。

教員紹介

TEACHERS

吉田啓史郎  教授・博士(工学)

略歴

1991年
3月
石川県立小松高等学校 卒業

1995年
3月
東京大学 工学部 航空宇宙工学科 卒業

1997年
3月
東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程 修了

1997年
4月
日本航空株式会社 

2002年
8月
東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 博士課程 退学

2002年
8月
東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 助手 

2007年
4月
金沢工業大学 工学部 機械系 航空システム工学科 講師 

2011年
4月
金沢工業大学 工学部 機械系 航空システム工学科 准教授 

2018年
4月
金沢工業大学 工学部 航空システム工学科 准教授 

2019年
4月
金沢工業大学 工学部 航空システム工学科 教授 

専門分野

専門:構造力学、複合材料力学、航空宇宙工学

学生へのメッセージ

私が大学生の頃、飛行機について「鉄のかたまり(注1)が飛んでいる」と話すのをよく耳にしました。そのような時、教授から「将来は炭素繊維とプラスチックでできた旅客機が飛ぶ時代が来る」とのお話を伺いました。そのお話がきっかけで炭素繊維強化プラスチックを用いた航空機構造に興味を持ち、現在もその研究に取り組んでいます。私は、このような興味深い対象に出会えて幸運だったと思っています。本学在学中の皆さんも’卒業後も本気で取り組める何か’に是非出会って欲しいと思います。私はその出会いの手助けができるよう皆さんの活動を全力でサポートします。皆さんの積極的な活動に期待しています。
注1:正確には’アルミニウム合金の応力外皮構造の軽量構造物’ですが、重い金属製という意味で’鉄のかたまり’と言っていたと思います。

担当科目

航空機の原理  工業概論  航空構造設計Ⅰ  プロジェクトデザインⅢ(吉田啓史郎研究室)  航空基礎数学  修学基礎B  航空構造力学  航空構造設計Ⅱ  構造解析演習  専門ゼミ(航空システム工学科)  マテリアルデザイン工学研究(吉田啓史郎)  材料力学特論  複合材料力学特論  

オリジナルコンテンツ

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