建築学部 建築学科
勝原基貴 研究室
KATSUHARA Motoki
LABORATORY
建築アーカイブスを活用した日本近代建築史の再検討:近現代建築資料を取り巻く<知の循環サイクル>の構築
本学には、歴代の建築家たちが残した、質、量ともに国内最大級の建築資料群が豊富に保管されています。当時の建築家の実像に高い水準で迫ることで、未解明の領域に思考を巡らせ、これまでの日本近代建築史を批判的に再検討します。また、「建築資料」の解明にも取り組んでいきます。後世への継承、建築アーカイブ思想の考究、情報化社会の流れに対応した利用基盤を開発し、建築の<知の循環サイクル>を構築することを目指します。
キーワード
- 近現代建築史
- アーカイブ思想
- 建築資料
- デジタルアーカイブシステム
- 建築展
研究紹介
RESEARCH
建築資料を取り巻く<知の循環サイクル>の構築
研究内容
建築資料の解明、それら情報資源を活かした歴史研究だけでなく、これからの建築文化をより豊かなものとするために、建築資料のアーカイブ化、データベースの開発、展覧会の制作など、建築資料を取り巻く<知の循環サイクル>を構築するための活動を行っていきます。
建築資料というものは、建築家が残した、図面、スケッチ、写真、模型、個人資料、さらに業務上、契約時に発生した書類、出版物など、あらゆる資料全般のことをいいます。
建築家が生涯にわたって建築活動をするなかで生産された資料の数は、ときには数万点にも及ぶこともあります。また、その資料の形態や種類も多岐にわたります。
この建築資料は、歴史研究の材料となる以前に、収集・整理・保管・修復保全・閲覧方法の確保など、歴史資料としての価値を損なわないように、的確な取り扱いが求められます。
しかし、近現代の建築資料の取り扱いに関しては、他分野に比べて、世界的にみてもまだ蓄積が浅く、さまざまな解決すべき課題が残されています。
建築アーカイブスを活用した日本近代建築史の批判的再検討
研究内容
建築資料を情報資源として活かすための取り組みとともに、建築資料を読み込み、歴史研究を進めていくことも、本研究室の要となるものです。
とりわけ、アーカイブ化された建築資料から紐解いていく、建築家の個人研究は、アーカイブ施設が充実している諸外国においては、比較的古くから行われてきた歴史研究の手法ですが、我が国においては、建築家や建築設計事務所が残した資料に対する文化的価値が十分に評価されてこなかった過去もあり、まだ十分に発展していないところがあります。
アーカイブズ資料には、文献などの二次資料にはない情報の深さと広がりがあり、これまでに理解、説明できなかったことが、浮かび上がってくることがあります。
建築アーカイブス思想の考究
建築資料に特化したデジタルアーカイブシステムの開発
研究内容
アーカイブ(Archive)と呼ばれる、資料を体系的に把握する資料整理の手法は、従来、同じく膨大な書類が生産される、役所などの公文書や、教会、家系、会社書類の整理の仕方として確立されてきたものですが、文書作成からファイル化するまでのドキュメントのルールが厳格な資料群に比べて、建築家が残す資料には、時には、事務所の担当所員によっても差が出ることもあります。共通のルールがないことも多く、資料編成の把握に、建築的な専門知識が求められる場合もあります。
また、公文書の保管のために開発されてきた整理手法、データベースなどのアーカイブシステムは、そのまま建築資料に適用することができないため、建築資料を活用する以前に、資料を情報資源として活かすための史料基盤を構築することが求められます。
建築展の制作
研究内容
――――――制作実績――――――
「丹下健三 1938-1970:戦前からオリンピック・万博まで」展
「安藤忠雄初期建築原図展―個の自立と対話」展
「紙の上の建築 日本の建築ドローイング1970s-1990s」展
「分離派建築会100年:建築は芸術か」展
「明治期における官立高等教育施設の群像:旧制の専門学校、大学、高等学校などの実像を建築資料からさぐる」展 ほか
教員紹介
TEACHERS
勝原基貴 講師・博士(工学)
略歴
専門分野
専門:近代建築史、建築資料、アーカイブス、アーカイブ思想、デジタルアーカイブシステム、建築展
担当科目
建築基礎製図 西洋建築史 建築設計Ⅰ プロジェクトデザインⅢ(勝原基貴研究室) 建築設計Ⅱ プロジェクトデザイン実践(実験)(建築学科) 専門ゼミ(建築学科)