デジタルツインの技術を駆使した
最先端の工作機械をつくり続けるデジタルツインの技術を駆使した
最先端の工作機械をつくり続ける
最先端の工作機械をつくり続けるデジタルツインの技術を駆使した
最先端の工作機械をつくり続ける
2025.6.9
わが国の精巧なものづくりの根幹を支えている工作機械。近年は製造現場の人手不足といった社会的背景もあり、省人化や自動化など工作機械に求められる性能や機能もより高度化、複合化する一方で、価格競争も激しさを増している。そんな工作機械について長年研究を続けてきたのが、金沢工業大学工学部先進機械システム工学科の森本喜隆教授だ。「動いてこその機械」が持論で、その機械の運動をどのように制御すればいいのかをいつも考えながら、最終的にはオリジナルの制御方法や、オリジナルのメカを搭載した工作機械を開発し、それを誰よりも速く正確に動かしたいと話す。これまで機械工学や精密工学関連の受賞歴も多く、数々の特許も取得しているという森本教授に、独自の視点で取り組んできた工作機械の開発について話を聞いた。

金沢工業大学 工学部
先進機械システム工学科
教授
森本 喜隆 (もりもと よしたか) 博士(工学)
金沢大学工学部機械工学科卒。同大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同大学大学院自然科学研究科システム科学専攻博士課程修了。1983年石川県工業試験場技師。1997年国立富山工業高等専門学校助教授。1999年宇都宮大学助教授。2008年金沢工業大学教授。2022年より2年間、副学長を歴任。専門は超精密位置決め技術、振動制御、工作機械。
先進機械システム工学科
教授
森本 喜隆 (もりもと よしたか) 博士(工学)

森本 喜隆
(もりもと よしたか) 博士(工学)
金沢工業大学 工学部
先進機械システム工学科
教授
(もりもと よしたか) 博士(工学)
金沢工業大学 工学部
先進機械システム工学科
教授
金沢大学工学部機械工学科卒。同大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同大学大学院自然科学研究科システム科学専攻博士課程修了。1983年石川県工業試験場技師。1997年国立富山工業高等専門学校助教授。1999年宇都宮大学助教授。2008年金沢工業大学教授。2022年より2年間、副学長を歴任。専門は超精密位置決め技術、振動制御、工作機械。
オリジナルの発想で機械をつくり
取得した特許も受賞歴も多数
取得した特許も受賞歴も多数
移動するための自動車、食べものを保存するための冷蔵庫、多用途に使えるスマートフォンなど、私たちの日常はあらゆる場面で多くの「機械」の恩恵を受けて成り立っている。これらの機械はそれぞれに必要な機能を持った「装置」の組み合わせでできているのだが、こうした装置をつくるのに必要なものが「部品」だ。部品は主に金属を加工してつくられるが、この加工を行うための機械が「工作機械」である。つまり、工作機械でさまざまな部品をつくり、その部品で完成させた装置を組み合わせることで、ようやく機械が生まれるというわけだ。工作機械は別名「マザーマシン(母なる機械)」と呼ばれるが、その理由がおわかりいただけるだろう。
長らく日本の工作機械はドイツと世界トップの座を争っており、技術、性能、機能のすべてにおいて高品質で使いやすいと高く評価されてきた。その研究レベルも非常に高く、森本教授も工作機械の研究開発におけるキーパーソンのひとりと言われている。森本教授は「オリジナルの発想で世界初の技術の開発にチャレンジする」というポリシーのもと、オリジナリティあふれる研究によってすでに10件以上の特許を取得している。2020年2月には機械系の学会として国内最大規模の会員数を誇る日本機械学会から、学会を代表するにふさわしい技術者として、「日本機械学会フェロー」の称号も授与されている。
長らく日本の工作機械はドイツと世界トップの座を争っており、技術、性能、機能のすべてにおいて高品質で使いやすいと高く評価されてきた。その研究レベルも非常に高く、森本教授も工作機械の研究開発におけるキーパーソンのひとりと言われている。森本教授は「オリジナルの発想で世界初の技術の開発にチャレンジする」というポリシーのもと、オリジナリティあふれる研究によってすでに10件以上の特許を取得している。2020年2月には機械系の学会として国内最大規模の会員数を誇る日本機械学会から、学会を代表するにふさわしい技術者として、「日本機械学会フェロー」の称号も授与されている。

「大学院の修士修了後に石川県工業試験場の技師になって工作機械の計測や評価を担当したのですが、当時(1980年代)は工作機械にコンピュータが搭載されてどんどん製造革新が進んでいきそうな時代ということもあって、そのおもしろさにのめり込んでいきました。13年間技師として働き、その後は富山高専と宇都宮大学を経て2008年から金沢工業大学で教鞭を執っていますが、その間もずっと工作機械の研究を続けてきました。
ただ、私の場合は技師の頃から工作機械製造の企業の人たちとの付き合いが続いていたので、大学の教員として実用化の一歩手前、二歩手前の基礎的なところの研究もやりながら、目の前で実際に使われている工作機械への対処や、次に市場に出ていく工作機械の開発にも携わらせてもらうことができました。共同研究をしている相手企業の経営者や技術者は新しいものを開発することをつねに期待していますから、こちらとしても率直に話をしながら、こんな機能を付けたらどうかという新しい提案などもかなり行いました。現実には失敗も多かったですが(笑)」
そんな森本教授の数ある研究テーマの中で、特に独自性が高いとされるもののひとつが、自動車のエンジンなどで吸排気バルブの開閉を行う「カム(cam)」という部品に関する「非軸対称三次元曲 面旋削・研磨加工システム」の開発だ。
工作機械による旋削加工とは、回転する金属に工具を押し当てて表面を削り取っていく除去加工で、軸対称の工作物を加工することを指す。しかし、森本教授は自動車エンジンのカムのように非軸対称形状でも、旋削加工が可能になる画期的な手法を開発したのだ。
ただ、私の場合は技師の頃から工作機械製造の企業の人たちとの付き合いが続いていたので、大学の教員として実用化の一歩手前、二歩手前の基礎的なところの研究もやりながら、目の前で実際に使われている工作機械への対処や、次に市場に出ていく工作機械の開発にも携わらせてもらうことができました。共同研究をしている相手企業の経営者や技術者は新しいものを開発することをつねに期待していますから、こちらとしても率直に話をしながら、こんな機能を付けたらどうかという新しい提案などもかなり行いました。現実には失敗も多かったですが(笑)」
そんな森本教授の数ある研究テーマの中で、特に独自性が高いとされるもののひとつが、自動車のエンジンなどで吸排気バルブの開閉を行う「カム(cam)」という部品に関する「非軸対称三次元曲 面旋削・研磨加工システム」の開発だ。
工作機械による旋削加工とは、回転する金属に工具を押し当てて表面を削り取っていく除去加工で、軸対称の工作物を加工することを指す。しかし、森本教授は自動車エンジンのカムのように非軸対称形状でも、旋削加工が可能になる画期的な手法を開発したのだ。

「ここに私がつくった三次元カムの部品を持ってきましたが、これは形状が非円形・非軸対称で、しかも一部分が盛り上がってねじれています。もしこれを従来のマシニングセンタという工作機械で加工しようとすると、1個つくるのに1時間近くかかります。ところが私が開発した『NACS-Turning』という工作機械なら、5ナノメートル単位(1ナノメートルは100万分の1ミリ)で削る位置を制御でき、従来のマシニングセンタの10倍の速さで刃物を回転角度に同期させて削ることができるので、1個がわずか30秒で完成します。
三次元カムはねじれがあることでバルブの開閉タイミングやリフト量などを最適化できるため、燃費向上などへの有効性が期待されます。こうした点が評価されて、2015年度の日本機械学会賞(論文)を受賞しました。自動車メーカーと共同で特許も取り、試作して性能もチェックしましたが、残念ながらコストの問題もあって実用化一歩手前で止まっている状態です」
三次元カムはねじれがあることでバルブの開閉タイミングやリフト量などを最適化できるため、燃費向上などへの有効性が期待されます。こうした点が評価されて、2015年度の日本機械学会賞(論文)を受賞しました。自動車メーカーと共同で特許も取り、試作して性能もチェックしましたが、残念ながらコストの問題もあって実用化一歩手前で止まっている状態です」
“机に載る”だけの小型・軽量な
工作機械を産官学で開発
工作機械を産官学で開発
森本教授が取り組んでいるもうひとつの研究テーマが、製造場所の省スペース化を図るための「デスクトップ工作機械」の開発だ。たとえば金属を削り出してiPhoneの筐体のような小さな部品をつくる場合、わざわざ大型の工作機械を使う必要はない。しかし、現場ではきわめて大きな工作機械が使われているケースが少なくない。そこで森本教授は工作機械の大幅な小型化、軽量化を実現したのである。
「机に載るサイズなのでデスクトップ工作機械と呼んでいますが、幅・高さ・奥行きが60センチほどしかありません。軽量化のために従来の鋳物の代わりにCFRP(炭素繊維)を素材とするパイプフレーム構造を採用しました。自動車部品の最大手であるデンソーが打ち出した『n分の1ライン』という生産設備からもわかるように、工作機械の大きさが2分の1になれば工場の同じスペースに2倍の工作機械を設置することができるため、生産性が向上するのは明らかです」
とはいえ、小型軽量化によって振動や熱変形などが制御しにくくなれば、生産現場における実用化は難しい。森本教授はこうした問題に対応するために、振動と熱変形を制御することで生産能率を低下させずに省エネルギー化が可能となる「パイプフレーム構造CNC旋盤」(※CNCとはコンピュータ数値制御のこと)を、産官学の研究グループで開発した。金属加工を行う小型工作機械としては初めての開発という点が評価され、2019年度の精密工学会技術賞も受賞している。
「机に載るサイズなのでデスクトップ工作機械と呼んでいますが、幅・高さ・奥行きが60センチほどしかありません。軽量化のために従来の鋳物の代わりにCFRP(炭素繊維)を素材とするパイプフレーム構造を採用しました。自動車部品の最大手であるデンソーが打ち出した『n分の1ライン』という生産設備からもわかるように、工作機械の大きさが2分の1になれば工場の同じスペースに2倍の工作機械を設置することができるため、生産性が向上するのは明らかです」
とはいえ、小型軽量化によって振動や熱変形などが制御しにくくなれば、生産現場における実用化は難しい。森本教授はこうした問題に対応するために、振動と熱変形を制御することで生産能率を低下させずに省エネルギー化が可能となる「パイプフレーム構造CNC旋盤」(※CNCとはコンピュータ数値制御のこと)を、産官学の研究グループで開発した。金属加工を行う小型工作機械としては初めての開発という点が評価され、2019年度の精密工学会技術賞も受賞している。

産官学の共同研究で開発されたパイプフレーム構造を有する小形工作機械
「今の時代はトポロジー最適化という解析によって、ある制約下での最適な形をコンピュータが自動的に導き出してくれますが、当時はまだそこまで解析手法が進んでいませんでしたから、自分たちでいろいろな形をトライしてなんとかこの最終形態にたどり着きました。振動の発生を抑え、熱による膨張を抑える技術についても、特許も取得しています。
ちょうどこの頃から3Dの立体データが完全にコンピュータに入ってくるようになったので、先ほどのデスクトップ工作機械の3Dモデルのデータも全部持っています。そして4年ほど前に学生たちからVRをやりたいという意見が出たときに、VRデータがすべてあるこの機械を使ってVRシステムをつくり上げました。このボタンを押せば機械はこう動くというインストラクションを1人で占有するのではなく、ヘッドマウントディスプレイを使って複数の人間でシステムを共有し、同時に練習することもできます。その一部がデジタルツイン的になっていて、メカもけっこう凝っています」
デジタルツインとは、現実世界(フィジカル空間)と対になる双子をサイバー空間上に構築し、モニタリングやシミュレーションを可能にする仕組みのことだ。現実世界のリアルタイムな監視やシミュレーションをサイバー空間で行えるので、業務の効率化や製品開発の時間を短縮することができる。これからの産業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の発展のためには、IoTやAIとともにデジタルツインのような技術を駆使する必要性が急速に高まっている。
ちょうどこの頃から3Dの立体データが完全にコンピュータに入ってくるようになったので、先ほどのデスクトップ工作機械の3Dモデルのデータも全部持っています。そして4年ほど前に学生たちからVRをやりたいという意見が出たときに、VRデータがすべてあるこの機械を使ってVRシステムをつくり上げました。このボタンを押せば機械はこう動くというインストラクションを1人で占有するのではなく、ヘッドマウントディスプレイを使って複数の人間でシステムを共有し、同時に練習することもできます。その一部がデジタルツイン的になっていて、メカもけっこう凝っています」
デジタルツインとは、現実世界(フィジカル空間)と対になる双子をサイバー空間上に構築し、モニタリングやシミュレーションを可能にする仕組みのことだ。現実世界のリアルタイムな監視やシミュレーションをサイバー空間で行えるので、業務の効率化や製品開発の時間を短縮することができる。これからの産業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の発展のためには、IoTやAIとともにデジタルツインのような技術を駆使する必要性が急速に高まっている。

デジタルツインの構成
森本教授の研究室では10年ほど前からキネマティクス工作機械(多軸工作機械)を用いて、デジタルツインについても研究を行ってきた。まずサイバー空間ではシーメンスのNXというソフトを使って、デジタルデータを元にコンピュータ内でキネマティクス工作機械の動作を再現する。一方、フィジカル空間ではキネマティクス工作機械をシーメンスのSinumerikコントローラを使って実際に制御するのである。ものづくりのプロセスをコンピュータ上でシミュレーションして再現することで、そのプロセスの条件が製品そのものの特性にどのような影響を与えるのかがわかるため、最適条件の提案が可能になるという。


森本研究室が使用している「キネマティクス工作機械」。円盤状のSinumerikコントローラを使い、時折モニターで確認しながら実験などを行っている
「実際の設計と並行して構造解析や熱解析などをタイムリーに行いながら、それを実際の設計に反映させるという設計プロセスを学ぶことは、学生が社会に出てから第一線の設計エンジニアとして活躍するためにも役立つと考えています」
実際にキネマティクス工作機械を用いた送り速度の適応制御の研究に取り組む学生は、バーチャルとリアルの機械動作の同期がリアルタイムでできることで、さまざまな研究テーマを深掘りできたという。また、加工機の工具の先端にかかる外力の推定手法の研究を行う学生は、工具先端の外力を推定することによって加工状況や工具の摩耗状況の把握、さらには事故の未然予防を可能にし、将来的にはデジタルツインに外力推定モデルを組み込むことで、仮想空間上で加工状況をより正確に表現できるように研究を進めているそうだ。
実際にキネマティクス工作機械を用いた送り速度の適応制御の研究に取り組む学生は、バーチャルとリアルの機械動作の同期がリアルタイムでできることで、さまざまな研究テーマを深掘りできたという。また、加工機の工具の先端にかかる外力の推定手法の研究を行う学生は、工具先端の外力を推定することによって加工状況や工具の摩耗状況の把握、さらには事故の未然予防を可能にし、将来的にはデジタルツインに外力推定モデルを組み込むことで、仮想空間上で加工状況をより正確に表現できるように研究を進めているそうだ。
残された時間で調整したいのは
「ギガキャスト」技術の開発
「ギガキャスト」技術の開発
65歳となった現在も、森本教授の研究への熱意はまったく変わることはない。研究室を持てるのはあと4年ほどだが、残された時間を使って「テスラのギガキャスト」のようなテーマに取り組みたいと話す。ギガキャストとは、自動車の車体やバッテリーケースなどをアルミニウム合金で一体成形する技術のことで、アメリカのテスラ社が「メガキャスティング」という技術を2020年に世界に先駆けて導入している。
「それまでは何十、何百という部品を溶接して組み立てていたものが、アルミの鋳物ひとつでつくれてしまうわけです。しかし、サイズ的に大きいので普通の工作機械には載せられません。そこで、大物部品を加工するための技術開発に残りの4年間で取り組んでみたいと考えています。
そのためには、ほぼすべてをデジタルツインにしなければなりません。たぶんロボットが自分で動く自律走行の機能が付いていて、障がい物を自分で判断するだけでなく、自分がいまどんな状態かわかったうえで加工も行うといったイメージのシステムになるのかなと考えています」
森本教授はこの技術を特許出願するための書類を書き始めており、同時にアメリカの大手航空宇宙機器開発製造会社にプレゼンするルートも模索しているという。というのも、こうした世界的な企業は各国の大学に研究費を提供して新しい技術の提案をさせているため、それを活用したいと森本教授は考えているからだ。
「それまでは何十、何百という部品を溶接して組み立てていたものが、アルミの鋳物ひとつでつくれてしまうわけです。しかし、サイズ的に大きいので普通の工作機械には載せられません。そこで、大物部品を加工するための技術開発に残りの4年間で取り組んでみたいと考えています。
そのためには、ほぼすべてをデジタルツインにしなければなりません。たぶんロボットが自分で動く自律走行の機能が付いていて、障がい物を自分で判断するだけでなく、自分がいまどんな状態かわかったうえで加工も行うといったイメージのシステムになるのかなと考えています」
森本教授はこの技術を特許出願するための書類を書き始めており、同時にアメリカの大手航空宇宙機器開発製造会社にプレゼンするルートも模索しているという。というのも、こうした世界的な企業は各国の大学に研究費を提供して新しい技術の提案をさせているため、それを活用したいと森本教授は考えているからだ。

「もちろん却下されるかもしれません。ただ、工作機械に求められる精度が1ナノ、2ナノというレベルに近づき、原子に近いレベルで工作機械が切削できるところまで迫っている状況で、それ以上のことをやるためには温度や湿度といった作業環境も完璧に整えなければなりません。しかし、現状の研究室ではそれは難しいので、そこの部分の研究はもうそろそろいいのかなと。
逆にジェット機の部品のような大型のものを製造できるギガキャスト技術の開発は、世界でもまだ数社というか本当にトップの研究所の人たちしかやっていません。ところが自分たちのような“たたき上げ”のレベルから見ると、彼らの技術もそれほど現場がわかっているようなシステムでもないのかなと感じるので、これは隙を突けるかもしれないぞ。そんな感じです(笑)」
これからの4年間の研究で、はたして森本教授のチャレンジはどこまで実を結ぶのか大いに期待したい。そして最後に森本教授からこんなメッセージをいただいたので、紹介しておきたい。
「卒業生があまり遊びにきてくれないのが、私的にはちょっと寂しい。私が大学にいる時間も残り少なくなってきたので、近くに来たときは気軽に顔を出してください」
逆にジェット機の部品のような大型のものを製造できるギガキャスト技術の開発は、世界でもまだ数社というか本当にトップの研究所の人たちしかやっていません。ところが自分たちのような“たたき上げ”のレベルから見ると、彼らの技術もそれほど現場がわかっているようなシステムでもないのかなと感じるので、これは隙を突けるかもしれないぞ。そんな感じです(笑)」
これからの4年間の研究で、はたして森本教授のチャレンジはどこまで実を結ぶのか大いに期待したい。そして最後に森本教授からこんなメッセージをいただいたので、紹介しておきたい。
「卒業生があまり遊びにきてくれないのが、私的にはちょっと寂しい。私が大学にいる時間も残り少なくなってきたので、近くに来たときは気軽に顔を出してください」

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