建築学部 建築デザイン学科

下川雄一 研究室

SHIMOKAWA Yuichi
LABORATORY

建築、空間、情報の関係をデザインする

研究室のテーマは情報技術を活用した、建築の新しい仕事のかたちを考えること。建築や都市の作られ方はデジタル技術の発達に伴い大きく進化しています。また、これからは建築や街そのものがデジタル化していきます。建築分野のDXに向けて、建築の3Dデータを丁寧に作り込める、VR・MR等のデバイスで建築の仕事ができる、メタバースでコミュニケーションできる、AIを活用できる、そんな建築技術者の育成を目指しています。

キーワード

  • 建築デザインとデジタル技術活用
  • VR/AR/MRなどの仮想空間技術活用
  • 建築・都市のデジタル化
  • 3D, BIM, デジタルツイン

研究紹介

RESEARCH

卒業設計(4年生)・修士設計(大学院)

研究内容

研究室では、研究だけではなく、卒業設計(4年生)や修士設計(大学院)として建築デザインのプロジェクトにも積極的に取り組んでもらっています。研究はある特定の領域に関する新たな知見を得ることが目的であるのに対して、設計は特定のテーマに基づいてあるべき建築の姿を提案することが目的です。テーマ設定、調査・分析、コンセプト立案を経て、試行錯誤を繰り返しながら新たな建築の姿を生み出す活動を通して総合力を身に付けていきます。また、その中でコンピュテーショナルな技術の活用も大きなテーマとなります。

【画像】
平成29年度修士設計作品:中川桂佑「Mixed Factors' Scape -木の国に根付く庁舎の提案-」
テーマ:多目的遺伝的アルゴリズムを用いてプランニング、熱・光・風の環境性能、形態を総合的に最適解を導くアプローチで庁舎の設計を行った。

地域連携デザイン&ファブリケーションプロジェクト

研究内容

研究室では、2004年以降、金澤月見光路、交流フェスタin能登町、金沢ベイフェスなど、石川県内の幾つかの地域イベントに密着させていただきながら、3次元的な造形デザインやものづくりに取り組んできました。当初はアナログなデザイン&ものづくりが主でしたが、徐々にプログラミングやデジタルファブリケーション技術を応用したコンピュテーショナルなデザインアプローチを取り入れていくようになりました。写真はこれまでにデザイン・制作してきたオブジェや会場風景の一例です。これらの非日常的なオブジェや風景の創作活動の目的の一つには、自分の感覚や身体で”感じること”の大切さを学ぶことも含まれています。近年、ウェルビーイングという考え方が注目されていますが、空間の機能的なスペックを高めることでウェルネスを高める方法もあれば、このように、一見、大した役割を持ってなさそうなメタな空間や風景を創ることで幸福感を高める方法もあるのかもしれないと思ったりします。

実装研究:デジタルファブリケーション(カーボンネガティブ3Dプリンティング)

研究内容

----------2023年度----------
環境配慮型コンクリートを用いた3Dプリンターの実用化に関する研究
 -小規模造形物のデザイン検討プロセスについて-
 (卒論、学内クラスター研究&鹿島建設との共同研究)
----------2022年度----------
・環境配慮型コンクリートを用いた3Dプリンターの実用化に関する研究
 -小規模造形物の意匠実現のための幾何データ作成技術について-
 (修論、学内クラスター研究&鹿島建設との共同研究)

研究フレーム1:建築空間の幾何的な見え方の分析手法に関する研究

研究内容

【研究事例】
----------2023年度----------
・空間の見えの大きさ×色の好ましさと視覚的選好度の関係に関する研究(修論)
・空間の見えの大きさ×色の好ましさと視覚的選好度の関係に関する研究-住宅のインテリアコーディネートを対象として-(卒論)
----------2021年度----------
・視界幾何特性によるVR建築空間の注視特性分析技術の開発(修論)
----------2020年度----------
・自己組織化マップを用いた場所毎の視界幾何特性の類型化-見えの大きさによる複数建築の横断的分析手法の提案-(建築学会情報シンポ論文)
----------2019年度----------
・BIMデータを用いた建築空間の視界幾何特性分析手法の開発研究 (博論)
・自己組織化マップを用いた場所毎の視界幾何特性類型化手法の提案 (修論)
・自己組織化マップを用いた場所毎の視界幾何特性類型化-複数建築を対象とした横断的分析- (卒論)
・視界幾何特性分析のための視領域単位細分化手法の提案 (日本建築学会計画系論文集)
--------2018年度以前--------
・フィボナッチ格子による視線ベクトル配列を用いた建築空間の視界幾何特性分析ツールの開発 (2018日本建築学会計画系論文集)
・建築作品の比較による見えの大きさ情報の指標化-視界幾何特性分析ツールの有効活用に向けて- (2018卒論)
・STUDY ON REPRESENTING APPARENT SIZE OF ARCHITECTURAL 3D MODELS USING SPHERICAL GEOMETRY (2017アジア図学会議)
・見えの大きさと視距離を用いた建築空間の分類手法に関する研究 (2017卒論)
・3次元建築モデルを用いた建築空間の視対象特性と視認距離特性の評価手法に関する研究 (2016卒論)

研究フレーム2:xR(VR、AR、MR)による建築特性の理解やコミュニケーションに関する研究

研究内容

【研究事例】
----------2023年度----------
・コロナ収束後におけるオンラインツアーの現状調査(卒論)
・住宅設計におけるVRでの危険箇所への気づきやすさに関する研究(卒論)
----------2022年度----------
・フォトリアリスティックVR空間を対象とした視線行動分析ツールの開発(卒論)
・設計作品の自己評価における没入型VRコミュニケーションの有効性評価(卒論)
・3DリモートコミュニケーションにおけるVRとMRの視認性の比較・評価(卒論)
----------2021年度----------
・視界幾何特性によるVR建築空間の注視特性分析技術の開発(修論)
・マーカレスARによる街並み情報整備のためのデータ構築および提示手法(修論)
・建築設計における没入型VRコミュニケーションの有効性評価-住宅の設計実験を通して-(卒論)
・建築空間理解のための没入型VRコミュニケーションの特性評価(卒論)
・没入型VRリモートコミユニケーションの活用性-小学校設計課題におけるグループディスカッションの分析を通して-(卒論)
・歴史地区を対象とした3Dオンラインデータプラットホームに関する研究-北国街道を対象とした複数プラットホームの試験構築とその特性の比較考察-(卒論)
・インテリアを対象とした3D空間キャプチャ技術の活用性検討(卒論、真柄建設株式会社、阪急阪神不動産株式会社との共同研究)
----------2020年度----------
・VR建築教材の利用における注視特性の分析手法 (修論)
・没入型VRリモートコミュニケーションの活用性-設計ミーティングの実践と分析を通して- (卒論)
・VRリモートコミュニケーションの活用性-小学生向けワークショップの実践を通して- (卒論)
・地域PRを目的としたVRコンテンツの実態把握-360度動画を中心として- (卒論)
・設計教育を目的としたVR建築教材における音声ガイドの効果(建築学会情報シンポ論文)
----------2019年度----------
・ARによるクリーンセンター設備学習教材の開発とその効果 (卒論)
・画像・音声情報付きVR建築教材の効果に関する研究:幼稚園建築を事例に (卒論)
・木造軸組学習用VR教材の作成に関する研究:白の家を事例として (卒論)

研究フレーム3:建築・都市の実空間と情報空間の対応性/接続性に関する研究

研究内容

【研究事例】
----------2023年度----------
・施工現場における3Dモデル制作とVRによる施工教材ツールの開発と評価(卒論)
・フォトグラメトリによる木造伝統建造物のデジタルツインモデル制作に関する研究(卒論)
・室内環境を対象とした安全教育における3Dバーチャルツアーの活用と有効性の調査(卒論)
----------2022年度----------
・RC造マンション内装工事を対象とした3Dバーチャルツアーによる施工教材ツールの制作とその活用に関する調査(卒論、須田研究室・真柄建設・阪急阪神不動産との共同研究)
・フォトリアリスティックVR空間を対象とした視線行動分析ツールの開発(卒論)
・バーチャルツアー内3Dデータの特性分析と活用方法の検討(卒論)
・フォトグラメトリ・ソフトウェアで作成した建物3Dモデルの精度検証(卒論)
----------2021年度----------
・マーカレスARによる街並み情報整備のためのデータ構築および提示手法(修論)
・歴史地区を対象とした3Dオンラインデータプラットホームに関する研究-北国街道を対象とした複数プラットホームの試験構築とその特性の比較考察-(卒論)
・インテリアを対象とした3D空間キャプチャ技術の活用性検討(卒論、真柄建設株式会社、阪急阪神不動産株式会社との共同研究)

研究フレーム4:維持管理のための建築情報技術活用に関する研究

研究内容

【研究事例】
----------2021年度----------
・点群データによる建築形状確認手法の研究-高速道路料金所施設を対象として-(卒論、阪神高速技術との共同研究)
----------2020年度----------
・維持管理高度化のためのBIMデータ作成と属性情報の管理手法に関する研究 (卒論、阪神高速技術との共同研究)

教員紹介

TEACHERS

下川雄一  教授・博士(工学)

略歴

1989年
3月
福岡県立八女高等学校 卒業

1993年
3月
熊本大学 工学部 建築学科 卒業

1995年
3月
熊本大学大学院 工学研究科 建築学専攻 修士課程 修了

1998年
3月
熊本大学大学院 自然科学研究科 環境科学専攻 博士課程 修了

1998年
4月
金沢工業大学 助手 

1999年
4月
金沢工業大学 講師 

2005年
4月
金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 建築学科 助教授 

2012年
4月
金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 建築デザイン学科 准教授 

2016年
4月
金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 建築デザイン学科 教授 

2018年
4月
金沢工業大学 建築学部 建築学科 教授 

学生へのメッセージ

最近、建設テックという言葉が注目されるようになっていることは知ってますか?
3Dデータ、xR、IoT、AI、ロボティクス、メタバースなど、新しいテクノロジーを建築・都市の分野で活用することがそんな風に言われてるわけですが、その背景には、人手不足や新たな働き方やライフスタイルへの対応を含めた各種業務や各種施設のスマート化を推進するという社会的な要請があります。そんな建築分野のDXとも言える技術領域の基礎的な部分を支える学問が建築情報の分野だといえます。2020年末には建築情報学会(https://ais-j.org/)もできました。

とは言っても、建築は長い歴史の中で築かれてきた側面があり、変わりにくい部分と変わりやすい部分があります。建築情報分野の活動は、その変りやすい部分を後押しすることが大きなテーマではあるのですが、一方で、その変わりにくい部分にも建築分野の面白さがたくさん詰まっていて、実はその両者の境界線や関係性に対する認識は、眺める観点によって、あるいは時代によって少しずつ変化していると考えられます。そのグラデ―ショナルな中間領域において、新しい空間情報に関する理論や知見および新しいデザインのアプローチを考えていくのが建築情報という分野の醍醐味です。

また、都市の情報という考え方もできます。建築情報という分野は空間+情報という2つの分野をつなぐ基礎的な学問分野なので、必然的に都市情報という考え方にも繋がってきます。建築情報分野には都市や街並みを対象として空間情報技術について研究している人は大勢いますし、私の研究室でも、身近な地域や社会を題材として、地域の自治やまちづくりを支援する空間情報技術についての研究に取り組み始めています。そういった活動の一環として、他学科の研究室と連携して空間情報プロジェクト(https://www.kanazawa-it.ac.jp/prj/geography/)をやったり、旧北国街道沿いの身近な歴史空間を題材として空間情報技術を考えるクラスター研究室を実践したりしています。

色々書きましたが、建築情報で最も大事なことは空間で情報のやりとりをすること、つまりコミュニケーションです。
興味がある方は気軽に声をかけてみてください。

担当科目

建築設計Ⅰ  建築情報デザイン  プロジェクトデザインⅢ(下川雄一研究室)  建築デザイン基礎  建築CAD  建築デザイン総合演習B  専門ゼミ(建築学科)  空間構築研究(下川雄一)  建築情報特論  コーオププログラム  コーオププロジェクト  

オリジナルコンテンツ

ORIGINAL CONTENTS