工学部 機械工学科
福江高志 研究室
自然界の流れの「不思議」をひも解き、魅力あふれるものづくりへ
自然界の流れには、ふと振り返ると沢山の不思議が。例えば、なぜわたしたちの心臓は脈打つのか?進化の過程で培われた知恵や技術が、より高度な流れの制御や、持続可能な社会の構築に貢献する技術のヒントになる可能性がある。そこで、本研究室では流体工学や伝熱工学の知識を用い、自然界の流れの「不思議」を探り、電子機器などわたしたちの身近な製品に新たな価値を加える熱流体制御技術に関する研究を行っている。
キーワード
- 流体工学
- 伝熱工学
- 生物模倣(バイオミメティクス)
- 魚の泳ぎ方と流れ学
- 電気自動車やスーパーコンピュータの冷却
ニュース&トピックス
- 2024.04.23「物語の始まりへ」に木村菜摘さんが紹介されました
- 2024.02.20小型無人潜水機への応用を念頭にクマノミ亜科の水泳動作を流体力学から解析、大学院生 木村菜摘さんの取組
- 2023.07.03福江高志准教授が2つの賞を受賞
- 2022.12.23「第1回・石川テックプラングランプリ」で徳永雄一教授と福江高志准教授が各企業賞を受賞
- 2021.11.17「物語の始まりへ」に近藤京加さんが紹介されました
研究紹介
バイオミメティクス(生態模倣工学)に着眼した革新的な熱流体制御技術の創成
研究内容
わたしたちを取り巻く自然には.長年の進化の結果として生み出された,不思議な「流れ」の構造がたくさんあります.例えば,なぜわたしたちの心臓は血液を脈打たせて全身に送り出すのでしょうか.肺の気管網や毛細血管はなぜ樹枝状の構造に進化を遂げたのでしょうか.一部の魚や渡り鳥が群を成して移動するのはなぜでしょうか.これら様々な自然界の流れの「不思議」が,もし,自然や生命を最も効率的に育む仕組みに育っているとしたら,ものづくりにおいても大きなヒントになると考えます.
そこで,これら自然界の不思議な構造を紐解き,ものづくりへ応用する,バイオミメティクスの視点に立った研究を進めています.持続可能な社会の構築のキーになるような省エネルギ技術や熱流体制御技術の構築に繋げます.未だ未解明の自然の不思議を解き明かすことにも繋がればと期待しています.現在は,わたしたちの身体の中にみられる「脈を打つ流れ」や,魚群の泳動作に,流れやエネルギーの輸送の観点から注目しており,持続可能な社会に貢献できる熱流体制御技術の構築に向けた熱流体現象の解明と工学応用のための研究を進めています.
電子機器のサーマルマネジメントの高度化に向けた諸研究
研究内容
パソコンやゲーム機,スマートフォンなどの情報端末や,エアコン,冷蔵庫,テレビなどの家電製品,電気自動車から鉄道車両,航空機に至るまで,わたしたちの現在の生活は電子機器の支援によって成り立っています.AI (人工知能)技術や,IoT (Internet of Things : モノのインターネット)に基づく新しいものづくりを実現するためには,その根幹を担う電子機器の高度化は今後も必要不可欠です.ところが,スマートフォンで動画を見たり,ノートパソコンでキーボードを打っているときに,熱く感じることはありませんか.電子機器内部での計算処理が高速になることで,必ず熱が発生します.局部的には太陽にも迫る勢いになっており,そのままでは,容易な熱破壊,不安定動作,火傷などの様々な問題に繋がります.
電子機器を高度化するために必須の熱制御:電子機器の中の「太陽」を制するための様々な研究と,ワールドワイドで展開する製品開発競争に打ち勝つための熱設計の標準化に向けた取り組みを進めています.
ひとの琴線に触れる,うれしいものづくりのために - 熱流体の1DCAE・デライト設計 -
研究内容
いつまでもお茶が冷めないコップ,寒さを感じない衣類,羽根のない扇風機,ロボット掃除機,紙の書き心地をそのまま再現したペンタブレット,文章書きに特化したワープロ,家でも外でも同じ取り回しができるゲーム機など,近年の様々なヒット商品には,ひとの多様な感性や価値観,こだわりに基づく,面白さや独創性に基づくものが散見されます.このような「魅力品質」をものづくりでより自由に実現するための設計(デライト設計)手法の構築が有益になります.より自由な思想でのものづくりを実現するには,製品の具体的な設計値が固まる前に,自由に作り込める構想段階での設計が重要です.そこで,構想設計の段階から,製品の設計に必要な物理現象の本質を抽出・把握し,わかりやすい機能モデルで再現した上で魅力を実現するよう,設計因子を作り込むための手法と,身近なものづくりへの応用法の確立を目指した研究を進めています.
教員紹介
福江高志 准教授・博士(工学)
略歴
専門分野
専門:強制対流熱伝達、熱流体抵抗網法、ヒートシンク、ファン、魚類泳動作、脈動流、電子機器の熱設計、バイオミメティクス、1DCAE、熱流体工学、伝熱工学、流体工学
学生へのメッセージ
鉄道好きが高じて機械工学を志しました。最近は、身近な自然界の流れに関する「なぜ」から、新しい流れの制御を実現する研究を進めています。研究室の水槽を泳いでいるヒメダカ達から、効率的にまわりの水を動かして泳いでいる仕組みを教えてもらおうと頑張っていますが、「ちゃんと自分で考えよう!」と言われているように思う毎日です。自然界の流れの不思議をヒントに、将来のスーパーコンピュータや電気自動車、鉄道車両の冷却を変え、持続可能な社会を支える基盤を創り上げ提供することを目標に、研究室メンバと頑張っています。
お茶が大好きです。種類は問いません。お茶に関する議論は大歓迎です。よりおいしいお茶を淹れるためのノウハウを、熱や流れからも考えたりするのですが、中々最適解は出ません。お茶を片手に学生の皆さんと様々な議論をする時間を楽しみにしています。
担当科目
流体力学Ⅰ 流体力学Ⅱ 熱力学Ⅱ 機械工学専門実験・演習A プロジェクトデザインⅢ(福江高志研究室) 熱力学Ⅰ 専門ゼミ(機械工学科) 動力・エネルギー工学研究(福江高志) モデルベースデザイン特論 再生可能エネルギー特論
研究業績
論文
- Evaluation of thermal damage area of tissue around pulsed laser-induced bubbles in URS treatment based on CEM43℃
- CHANGE OF CRITICAL HEAT FLUX OF EVAPORATION AROUND A CYLINDER MOUNTED IN A RECTANGULAR DUCT UNDER FLOW PULSATION CONDITION
- RELATIONSHIP BETWEEN FLOW CONDITION AND SWIMMING POSITIONS IN RECTANGULAR FLUME IN THE CASE OF SPINECHEEK ANEMONEFISH
- BASIC STUDY ON TRANSIENT FLOW CONTROL TECHNIQUE IN NARROW FLOW PASSAGE WITH FLOW SEPARATION REGION FOR MAXIMIZATION OF COOLING PERFORMANCE OF HEATING ELEMENTS
- FUNDAMENTAL STUDY ON PRACTICAL MEASUREMENT METHOD OF ANISOTROPIC THERMAL CONDUCTION PERFORMANCE USING ZIG-ZAG JIGS
- Fluid dynamic properties of shark caudal fin morphology and its relationship to habitats
- 脈動流によるはく離領域の伝熱促進と熱伝達率のモデル化
- Estimation of Finned Heat Sink Performance by Inverse Analysis using MBD Model
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